私の「お菓子屋さん」好きは(もちろんお菓子大好き)、幼い頃の思い出に遡る。
今はもう無くなったが、南町の「松栄軒」が始まりだった。亡き祖父とそこを訪れたのは小学校に上がる前だったと思う。日本家屋の静かなたたずまいの小さな和菓子屋さんでガラスケースの向こう側は格子戸になっていた。
セピア色の背景は、和紙のボンボリが作り出していたのか、ほんわりとした明りの中に白とピンクと緑の三色だんご、おはぎや桜餅、羊羹などが並んでいた。その光景は、NHKの朝ドラマで「あすか」で主人公あすかが扇屋一心堂の店先を覗いた時の感動に近いものがあったような気がする。
しかし、お菓子を包んでもらう間に、私が驚いて見つめていたのは、足もとだった。店の中に池があったのだ。コンクリートと丸い石で作られた小さな池はそれでもしっかりと苔むしていて、金魚が泳いでおり水草があって、一つの世界を完成させていた。
これは驚きというしかなく、不思議で楽しく、「どうしてお家の中にお池があるの?だってお店なんだよ?」幼心に刷り込まれた「嬉しい、おいしい、面白い」が、今も脳内で生きているに違いない。
大人になってから、帰宅の途中で寄っていたが、池は昔のままにあって店の雰囲気も変わらなかった。 懐かしくて暖かなお店だった。
5、6年前か、どうしてやめてしまったのか残念であるが、「お菓子屋さん」への親しみと愛着の素としていつまでも存在するお店である事に変わりはない。
Works
2009.1.10
2009.1.6
ホームページ企画・制作事業
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SEO対策事業を開始。