レッドストーン

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 だからこそ、そのような国家を形成させない理性を教育で育てなければならないと思います。国家を人民のものたらしめる基礎となるのが教育というものでしょう。「なぜ」と自分に問題を提起する力、「これでよいのか」という反芻、その延長にある批判の精神を育むのは、教育によって培われる「考える力」なのじゃないでしょうか?
 ただ、新制アフガニスタンが「絶対善」だとも、私は思っていません。「どちらかというと、タリバンよりよい」という程度であり、内情に立ち入れば、よほど国際監視の目が行き届かなければ「もとの木阿弥」になってしまう可能性は大だと思います。

 

 「いまのアフガニスタンは、(日本の歴史でいえば)群雄割拠の戦国時代のようなものだ」という指摘は正鵠を射てますし、民族の和解、主導権争いが一筋縄でいかないのは、ヨーロッパのバルカン地方の例(ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア・クロアチアの民族問題)をもちだすまでもありません。

 周辺の諸国がアメリカと同盟軍を支援したのも、「見返りに援助を受ける」などの思惑があったからで、「正義や人道」だけでアクションを起こした訳ではないのは自明の理です。


 「泥棒にも三分の利」の諺のとうり、ビンラディンの言い分にもうなずける点はあります(例えばパレスチナ問題、例えばアメリカの一国主義的発想)。しかしだからと言って、大量テロが容認される訳でもないでしょう。

 「では、どうすればいいのか」ということに話は収斂していくのですが、「テロや戦争、蜂起や弾圧など暴力的な行為は、いつの世にも、いつの時代にも現実としてあるのだ」というリアリズムに徹しながら、理性を先行させて根気よく話し合いを積み重ねるしか解決方法は見つからないのではないでしょうか。


 「戦争は国家の最終の意志である」というクラウゼヴィッツの定理はいまでも生きていますし、「現状に満足しない不満分子」はいつの世にもいます。

 だからこそアメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの、「平和という報酬は、絶えざる『注意』という代償を払うことによってのみ得ることができる」という言葉がいまなお警告の句として語り伝えられているのでしょう。


 「同時多発テロ」「アフガニスタンに於ける戦争」が我々に教えたものは、「だれ一人として、島嶼にあらず。故に問うなかれ、誰がために弔鐘は鳴ると。そは汝のために鳴る」というジョン・ダンの詩の警告が「冷徹な現実を伝えているのだ」ということだと、私は思います。如何でしょうか。


 事実これらの事件が起こるまで、どれだけ我々がアフガンについて注目し、どれだけのことを知っていたでしょうか?随分いろんなことを書きました。あるいはあなたと考えが異なる部分があるかもしれませんが、お許しください。そのような諸点は、現段階では一応お目をつぶっていただき、次回また改めて討論したいと思います。あくまでも私は私自身の考えていることを順不同、アトランダムで書き綴りました。


 お仕事お忙しいとか。くれぐれもお疲れになりませんように。来年が、あなたとご家族にとって、よき年でありますよう念じます。

           
敬 具    

追伸。この手紙を書き終わった時点で、日本では「南シナ海での不審船追跡、撃沈事件」が発生しました。過去のいきさつ、今回の状況、慰留物による推定から、不審船が北朝鮮のスパイ工作船であることはほぼ確定的でしょう(私は間違いない、と思っています)。


 「目的がなにであったか」はまだ解明されていません。「ニセ札の搬入」「麻薬の運び込み」「人質の確保(統計によれば、北朝鮮の手になると思われている日本人の拉致・誘拐事件は過去300件に及んでいます)」などが工作の目的として推測されています。

 

 いずれにせよ巡視船の停船命令を無視して逃走を続け、あまつさえ自動小銃で銃撃を加え、対戦車ロケット砲を発射してくるという異常さは、国際法上無視できるものとはいえないでしょう。(巡視船は機関砲で不審船の船首を撃って停船させ、かつ接舷して不審船に係員が乗り移ろうとしたところ銃撃が加えられたので、『正当防衛を確認したのち』船体射撃で沈没させました。不審船の乗組員15名は海に飛び込んだそうですが、夜間であった上に悪天候で海が荒れていたため〜波の高さが4メートルを超えていたそうです〜救助活動が困難を極め、結局遺体を2体収容しただけに終わりました(これらはテレビによる映像で、すべて報道されました。韓国でも大々的に報道されました)。


 北朝鮮政府は数日間沈黙していましたが、一昨日「日本の謀略」とコメントを出しました。日本側の調査は、まだ続いています。船体の引揚げも検討されていますが、「リモートコントロールで爆破される危険がある」ということから、作業は見合わせているようです。


 ここで私が言いたいのは、このような活動をする国家も「国家」としてこの世に存在しているということです。

 北朝鮮の人々がすべて心から自分たちの国家を支持しているとはとても思えませんが(〜北朝鮮には飢餓の問題があります〜)、それでも「国を鎖国状態にして強権を発動すれば、民衆を支配下には置ける」という事実は、東アジアでも生きています

 「自由や平和は、決して代償なしに得られるものではない」という歴史的な事実を、我々すべてが真剣に見つめるときにきていると、私は思っています。

Works

建築設計のほか、建築のデザインを
幅広く手がけています。

24時間仕上のスケッチ、人気の水彩、
3Dパースをご提供。

印刷物の企画・デザイン、ロゴ・マーク
のデザイン、イラストも。

Webなくして語れない時代。
だからこそ、デザインで勝負する。

 

2009.1.10

 

文章講座 「樫の木会」
新ウェブサイト公開。

 

作家 「谷克二の気の向くままに」新ウェブサイト公開。

 

 

2009.1.6

 

ホームページ企画・制作事業

いよいよ始動。

 

SEO対策事業を開始。